オルソケラトロジーのメリット・デメリット!リスクや注意点も解説

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オルソケラトロジーは手術をせずに近視を矯正できたり、子どもの近視抑制効果が期待できたりとメリットが目立つ治療ですが、デメリットもあります。

また、オルソケラトロジーには合併症などのリスクもあるため、治療を始める前にきちんとリスクも理解しておきましょう。

この記事では、オルソケラトロジーのメリットとデメリット、考えられるリスクや治療をする際の注意点を詳しく解説していきます。

オルソケラトロジー治療を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

オルソケラトロジーのメリット

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オルソケラトロジーは特殊なレンズを装着して視力を矯正する治療です。

さまざまなメリットがあり、適応できれば子どもから大人まで視力の回復効果が期待できるため、興味のある方も少なくありません。

ここではオルソケラトロジーのメリットを紹介します。

適応年齢が幅広い

オルソケラトロジーは基本的に6歳〜65歳くらいまでを治療の対象としています。

眼科によって適応年齢が異なり、オルソケラトロジー治療が必要かは医師の診断によるため、希望しても治療ができない場合もあります。

本人だけでレンズ装着や管理が難しい小学校低学年の子どもの場合は、大人のサポートが必要です。

近視の進行抑制効果が期待できる

成長途中の子どもの場合、近視の進行を抑制する効果が期待できます。

近視は眼軸(目の奥の長さ)が伸びすぎて引き起こされ、成長と共に眼軸も伸びていきます。

成長期には近視も進行しやすく、成長が止まる成人前後まで放っておくと近視が強くなってしまうかもしれません。

オルソケラトロジーは角膜の形状を平らに癖付けして、毎日の装着を続けている間は効果が持続するため、角膜の歪みを抑えて近視進行の抑制効果が期待できます。

成長途中の子どもには有効ですが、近視の進行が止まっている大人には進行を抑制する効果はほとんどなく、視力矯正の効果のみとなるため注意してください。

日中裸眼で過ごせる

オルソケラトロジーは睡眠中にレンズを装着するだけで、日中は視力が矯正された状態で裸眼で過ごせます。

以下のような方は、裸眼で過ごせるのは大きなメリットになるでしょう。

  • 激しいスポーツや格闘技をする
  • 仕事でメガネやコンタクトレンズを使用するのが難しい
  • 学校や職場で裸眼で過ごしたい
  • 日中メガネの着け外しを面倒に感じている
  • メガネやコンタクトレンズで目が疲れやすい   など

個人差はありますが、視力が安定すると8〜36時間効果が持続するため、外出時間によってはメガネを持ち歩かなくてよくなることもあります。

手術の必要がない

オルソケラトロジーは手術が必要なく、レンズを装着するだけです。

レーシックやICLなどの視力回復手術に抵抗がある方も、オルソケラトロジーは抵抗感が少ないかもしれません。

手術をしないため、レーシックやICLと比べると身体への負担も少なく済みます。

目の手術に不安を感じている方にも、レンズを装着するだけで治療できるオルソケラトロジーはメリットがあるでしょう。

治療を中止すると元に戻る

オルソケラトロジーは、毎日レンズを装着することにより視力を回復させますが、治療を中止すると角膜は元の形状に戻ります。

2週間〜1ヶ月ほどレンズを装着しない日が続くと、角膜の形状が戻り視力も元のようになります。

レーシック手術では角膜を削って形状を整えるため、手術をしたら元には戻りません。

ICL手術は目の中に入れたレンズを取り出せば元に戻すことはできますが、取り出すための再手術が必要となります。

オルソケラトロジーを試してみて、合わないと感じたり、時間が経って治療をやめようと思ったりしたときに、治療をやめれば元に戻るというのはメリットです。

オルソケラトロジーのデメリット

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オルソケラトロジーにはメリットだけではなく、デメリットもあります。

自分の生活や希望に合っているかを判断するためにも、きちんとデメリットも知っておきましょう。

保険適用外のため費用が高額になる

オルソケラトロジーは保険適用外のため、自費診療となります。

クリニックによって価格が変わってきますが、初期費用を含めて年間15〜20万円ほどと考えてください。

レーシックやICL手術に比べれば安いと感じるかもしれませんが、治療期間が長くなると費用もその分かかってきます。

治療期間の定期検診やレンズの紛失・交換が別料金の場合もあるため、治療を始める前に総額がどれくらいになるのかを確認しておきましょう。

レンズのケアが必要

オルソケラトロジー治療で使用するレンズは、ハードコンタクトレンズに似ていますが、凹凸のある形状です。

交換時期は2〜3年ほどとなり、毎日レンズのケアをしなければなりません。

ケア用品はクリニックで取り扱っている場合もあり、市販の『オルソケラトロジー対応』の表示があるものでも対応できますが自己責任となります。

合併症などのリスクを減らすためには、起床時に目から外したあとにケアをして衛生的に取り扱うことが重要です。

レンズケアを手間に感じてしまう方には、デメリットと感じられる点です。

視力の安定までに時間がかかる

オルソケラトロジーの治療を始めてから視力が安定するまでは、時間がかかります。

屈折度数や睡眠時間、体質などで個人差がありますが、初日から効果を感じる方もいれば、1週間ほど経ってから効果を実感する方もいて、視力回復の目安は人それぞれです。

また、最初は視力が回復している時間が短く、夕方には見えなくなってくる場合もあるため、メガネやコンタクトレンズを持ち歩く必要があるかもしれません。

安定した状態までは2週間〜1ヶ月ほどかかるため、メガネやコンタクトレンズのように初日から見えるというわけにはいかないのです。

適応検査により難しいと診断される場合がある

オルソケラトロジーは治療前に適応検査をしますが、適応外と診断される場合もあります。

適応条件は以下のようになります。

  • 近視の度数-4.00Dくらいの中度近視まで
  • 乱視の度数-1.50D以下
  • 6~65歳くらいまで(医師の判断や眼科の規定による)
  • 目の病気にかかっていない   など

屈折度数-6.00D以上とされる強度近視、または乱視が強い場合は、オルソケラトロジーの治療効果が十分に得られない可能性があるため、基本的に適応外となります。

ただし、レンズの種類によって対応可能な場合もあるため、クリニックに問い合わせてみましょう。

年齢については、クリニックによって規定を設けていることもあるため、事前に確認してください。

また、目の病気や角膜の形状が合わないなど、検査結果から適応外と診断することもあり、希望してもオルソケラトロジー治療を受けられない場合があります。

定期検査が必要

クリニックによって希望制の場合もありますが、オルソケラトロジー治療は適応検査や問診の後、実際に体験するテスト装用をしてから本治療が開始されます。

本治療が始まってから、定期的に目の状態の検査やレンズのチェックなどのために通院が必要です。

検査の頻度はクリニックによりさまざまですが、1週間後、2週間後など、治療の経過によって医師の指示があります。

しばらく装着して視力が安定し、異常がなかったとしても、3ヶ月ごとの定期検査を行い経過を診なければなりません。

成長期の子どもは視力の変化がある可能性が高いため、レンズの交換タイミングが2〜3年よりも早まることもあります。

合わないレンズを使い続けることにならないように定期検査が必要ですが、通院が困難な場合はデメリットになってしまいます。

毎日装着しなければならない

オルソケラトロジーは、角膜の形状を保つために毎日の睡眠時にレンズを装着しなければなりません。

睡眠時間は6時間以上が推奨されています。

装着時間が短かかったり、毎日装着していなかったりすると、オルソケラトロジーの効果が十分に発揮されず、視力回復が思うように進まない可能性があります。

睡眠時間が確保できない、毎日の装着が難しいなどの方は、オルソケラトロジーに向いていないかもしれません。

オルソケラトロジーのリスク

RISKと書かれた木製ブロック

オルソケラトロジーは治療を続けていれば視力回復の効果が期待できますが、リスクもあるため注意しましょう。

ここでは、オルソケラトロジーのリスクについて詳しく解説していきます。

ハロー・グレア

夜間に街灯や電灯などの光がにじんで見えたり、周りにモヤがかかったように見えたりする現象(ハロー)や、光がギラギラしてまぶしく感じる現象(グレア)などが起こる可能性があります。

大人の方が感じやすく、子どもには少ない傾向があり、感じ方は人それぞれです。

ハロー・グレアは平らに矯正された個所と、周囲との屈折率の差によって引き起こされ、近視が強かったり、角膜のカーブが強かったりすると生じやすいです。

多くは治療を続けるうちに次第に気にならなくなりますが、夜間の車やバイクなどの運転はライトがまぶしかったり、信号がにじんで見えたりするため危険です。

運転前に光の見え方を確認して、運転に支障があるようならクリニックでオルソケラトロジーを続けるか相談しましょう。

合併症

間違ったケア方法でレンズの汚れが落とせていなかったり、レンズケースが不衛生になっていたりした場合、角膜に関する合併症を引き起こす可能性があります。

オルソケラトロジーに限らず、ハードコンタクトレンズでも合併症のリスクはありますが、オルソケラトロジーは凹凸のある特殊なレンズ形状のため洗浄が不十分になりやすく、注意が必要です。

オルソケラトロジー治療で注意すべき合併症は、以下のようなものです。

  • 角膜感染症
  • 角膜上皮下混濁
  • 角膜上皮びらん
  • 角膜炎
  • 角膜内皮障害   など

角膜感染症の中でも、細菌やアメーバーによる感染は視力の低下や失明につながる可能性があります。

オルソケラトロジーの治療中に痛みや充血、違和感がある場合は、レンズを装着せずにすぐクリニックを受診してください。

また、角膜内皮障害は、角膜の透明度を維持する角膜内皮細胞が障害を受けて減少してしまう病気です。

角膜内皮細胞は減少してしまうと再生ができない細胞のため、将来白内障になったときに手術ができなかったり、視力の低下で角膜移植手術が必要になったりする可能性があります。

正しいレンズケアと装着をしていれば、これらの合併症を防ぐことにつながります。

通常のハードコンタクトレンズと同様の症状

オルソケラトロジーはハードコンタクトレンズと似たレンズのため、同様の症状が起こることがあります。

オルソケラトロジーの治療中に炎症や充血、アレルギーなどの症状が出た場合は、すぐにクリニックを受診しましょう。

合併症でなければ、レンズの装着を一定期間休んだり、点眼薬を使用したりする治療が必要になります。

オルソケラトロジーで気を付けること

机に置かれた検査枠・検眼枠

オルソケラトロジーは手術をしないで視力回復の効果が期待できる治療法ですが、注意しなければいけないこともあります。

オルソケラトロジー治療を検討している方は、注意点も知っておきましょう。

運転免許に関する注意

オルソケラトロジーの治療中は、運転免許の取得・更新時に注意が必要です。

運転免許の取得・更新では視力検査が行われますが、必ずオルソケラトロジー治療をしていると申告をしなければなりません。

日中の裸眼視力で合格基準に達していても、オルソケラトロジーの治療中は『眼鏡等』の条件がつくため、注意しましょう。

『眼鏡等』の条件を外すためには、オルソケラトロジー治療を完全に止めて裸眼で視力検査に合格しなければならず、オルソケラトロジーは視力矯正をしているとみなされます。

また、オルソケラトロジーの治療をしていても、免許に必要な視力が得られていない場合は、裸眼で運転すると条件違反となるため、注意が必要です。

レンズを正しく取り扱う

オルソケラトロジーの治療中は、合併症を防いだり、効果を十分に得たりするためにも、レンズを正しく取り扱いましょう。

オルソケラトロジーのレンズは特殊な形状のため、清潔を保つレンズケアが必要です。

正しいケア方法や使用方法などは、最初に眼科で指導されます。

ケア用品はオルソケラトロジー対応のものを使用する、レンズのこすり洗いや消毒の方法、レンズケースの洗浄など、医師の指示をきちんと守りレンズを清潔に保ちましょう。

また、装着時間や注意事項についても説明があるため、正しく使用してオルソケラトロジーの治療を進めてください。

定期検査を受ける

オルソケラトロジーは、裸眼の視力が安定してからも定期検査が必要です。

治療中の目の状態や視力の測定、レンズの傷や汚れのチェックなど、クリニックによって頻度には差がありますが、約3ヶ月ごとに行われます。

医師の指示を守り、定期検査をきちんと受ければ、オルソケラトロジー治療のトラブルを防ぐことにもつながります。

まとめ

オルソケラトロジーは寝ている間にレンズを装着するだけで日中裸眼で過ごせる、手術の必要がないなどがメリットです。

しかし、保険適用外で高額になる、レンズのケアが必要などのデメリットもあります。

また、オルソケラトロジー治療にはリスクもあるため、事前に医師としっかり話し合い、疑問や不安を解消しておくのが重要です。

正しいレンズケアや装着方法を守れば、リスクやトラブルを回避できる可能性が高まります。

オルソケラトロジーのメリットやデメリットについてきちんと理解して、目の違和感があったらすぐに医師に相談しましょう。

こにし・もりざね眼科では、オルソケラトロジーによる視力回復・近視の進行抑制治療をしております。

オルソケラトロジーに興味がある方や、もっと詳しく知りたい方は、こにし・もりざね眼科へお気軽にご相談ください。