ドライアイと更年期の関係は?なりやすい人の特徴や予防のポイントを紹介

ドライアイがつらくなりメガネを外した女性

更年期障害と聞くと、身体ののぼせ・ほてりや、イライラ・不安などの精神症状が想像されますが、ドライアイもそのうちの一つです。

更年期はドライアイをはじめとする目の症状が現れやすいため、自身で予防・対策するほかに、眼科で適切な治療を受けることが重要になります。

この記事では、ドライアイと更年期の関係やなりやすい人の特徴、予防や改善のポイントを紹介します。

更年期になり目の不調が現れ始めた人は、この記事を参考に対処法を検討してみてください。

更年期はドライアイの原因になる?

ドライアイがつらく目を押さえる更年期の女性

更年期にはさまざまな身体の不調が起こりやすく、ドライアイもそのうちの一つです。

更年期の代表的な症状といえば身体のほてりやイライラなどですが、ドライアイをはじめとした目の疲れやかすみなどの症状が現れるケースも多いです。

更年期では潤いを保つ女性ホルモンが減少し、「ドライシンドローム」として全身の乾燥を引き起こすため、ドライアイ以外にも口渇や肌の乾燥・かゆみなどを伴います。

ドライアイが進行すると頭痛や肩こり、吐き気を引き起こし、日常生活に支障をきたす可能性があるため注意が必要です。

更年期がドライアイを引き起こす原因

ドライアイで目を押さえる更年期の女性

更年期がドライアイを引き起こすのには以下の理由があります。

エストロゲンが減少するため

更年期になると女性ホルモンであるエストロゲンが減少するため、ドライアイになりやすいです。

エストロゲンは全身の潤い維持を担うホルモンで、目を乾燥から守る働きがあります。

更年期手前の30代後半になるとホルモンバランスが崩れ、エストロゲンの分泌が減少し始めるため、肌のハリがなくなったり目の水分や粘膜が乾いたりする原因になります。

女性の更年期にはこのエストロゲンの低下がつきものであるため、男性よりもドライアイになるリスクが高いです。

涙の質が低下するため

更年期では、エストロゲンが減少することで涙の質が低下しドライアイになりやすいです。

涙はムチン・水・油の3つの層によって構成され、ムチンには目と水分を接着させる粘膜の役割があります。

エストロゲンの減少に伴いムチンの分泌が減少すると、涙のバランスが崩れて質が低下し、目の水分量が十分でも潤いを保てなくなることでドライアイを引き起こします。

ムチンの減少による涙の質の低下は、涙の層が破壊されやすくなるBUT短縮型ドライアイの原因になる可能性が高いです。

また加齢に伴い発生リスクが高まる目の症状の一つに、涙が溢れる流涙症というものがあります。

涙が十分排出されているため目の乾きとは無関係に感じますが、供給量が多くてもムチンが不足することで涙を目に溜めておくことが難しくなっているため、ドライアイとの併発もあり得る状態です。

自律神経が乱れるため

更年期障害の諸症状が自律神経の乱れにつながることで、ドライアイになりやすくなります。

更年期には精神が不安定になったり、睡眠不足になったりすることで自律神経が乱れ、涙の分泌量が減少します。

また更年期に感じやすい「ストレス」も、交感神経が優位になり涙の分泌量が減少する原因です。

更年期のドライアイでは、目の症状に加えメンタル面のケアが重要になります。

目への負担がドライアイにつながりやすくなるため

更年期では、弱っている部分に不調が現れやすくなるため、目の負担がドライアイになる原因になります。

エストロゲンが減少すると身体の不調がある部分をホルモンが守らなくなるため、弱った部分や負担がかかった部分に更年期障害の症状が出現しやすいです。

そのため、デスクワークや乾燥した環境下などで目がダメージを受けると、ドライアイの症状が現れやすくなります。

シェーグレン症候群の可能性があるため

シェーグレン症候群では、ドライアイの症状が現れる場合があります。

シェーグレン症候群は、免疫機能が身体を守るためではなく攻撃する方向に働く自己免疫疾患で、粘液を分泌する組織が炎症により異常を引き起こす病気です。

シェーグレン症候群によって併発するドライアイは、40〜60代の女性に多く見られます。

症状を緩和・観察しながら付き合っていく必要があるため、早めの治療開始が重要です。

更年期のドライアイの症状

スマホを見ているときにドライアイになりつらそうにしている女性

更年期のドライアイには、以下のような症状があります。

  • 目が乾く
  • 目がゴロゴロする
  • 目がかすむ
  • 目が疲れやすい
  • 目が痛い・痒い
  • 目が充血する
  • 目の奥が痛む
  • 眩しさを感じやすい
  • 視力が下がった気がする
  • 休んでも目の症状が改善されない

更年期のドライアイでみられる症状は他の年代のドライアイでみられる症状とあまり変わりませんが、眼精疲労や他の疾患が併発するリスクが高まります。

更年期になり涙の分泌量が減少すると、付着した異物を洗い流す能力が欠如するため、目にかゆみを生じる可能性があります。

また目に小さな傷がつき表面に凹凸ができることで、光を人より眩しく感じたり、目がぼやけたりしやすいです。

更年期では目に疲れが溜まりやすい傾向があるため、ドライアイと併発することで疲れ目が悪化すると目がしょぼしょぼするケースもあります。

さらに自律神経の乱れはドライアイの原因になりやすいほか、筋肉の緊張につながることで頭痛や肩こり、それに伴う目の奥の痛みを感じる可能性があります。

ドライアイには、角膜炎・結膜炎・白内障・緑内障・シェーグレン症候群などさまざまな病気が原因である危険性もあるため、症状が気になる場合は我慢せず眼科を受診しましょう。

更年期でドライアイになりやすい人の特徴

パソコンを見ているときにドライアイになりつらそうにしている女性

更年期になるとドライアイになる可能性が高まりますが、以下の特徴もドライアイのリスクを高める原因になります。

コンタクトレンズを使用している

コンタクトレンズの使用は、ドライアイの代表的な原因の一つです。

コンタクトレンズは目の表面に張られた涙の層に乗せて使用するため、吸い上げた涙の水分を蒸発させることでドライアイを誘発します。

またコンタクトレンズを着用しているあいだは角膜に蓋を被せた状態になっているため、新しい涙の供給効率が低下します。

スマートフォンやタブレットを至近距離で使用する

スマートフォンやタブレットの画面を凝視する傾向がある人は、ドライアイになりやすいです。

これらのデバイスの画面を至近距離で見る時間が長いと、目が疲れたり乾いたりする原因になります。

老眼の方の場合は画面を遠ざけて見るケースが多いですが、至近距離で見る傾向がある人は特に注意が必要です。

緊張やストレスを感じやすい

緊張やストレスを感じやすい人は、ドライアイになるリスクが高まります。

特に更年期では精神面が不安定になりやすいため、元々メンタルが安定している人でも緊張やストレスを伴いやすくなる可能性があります。

このような状態では交感神経が優位になることで涙の分泌量が減少し、ドライアイを引き起こすリスクが高まるため、リラックスやストレス緩和を心掛けた生活を送ることが大切です。

エアコンの効いた部屋にいることが多い

エアコンが効いた部屋は空気が乾燥し、ドライアイになりやすくなるため注意が必要です。

更年期では、ほてりを伴うホットフラッシュや、足元だけ寒く頭だけ熱く感じる冷えのぼせという症状がみられるケースがあります。

このように体温調節がうまくいかない更年期の場合、エアコンのみで温度調節をしようとすると、適切な温度に合わせにくかったり自律神経の乱れを引き起こしたりする可能性があります。

エアコンの温度の上げすぎ・下げすぎを防ぐために、その時の環境の温度に合わせて適温を設定したり、できるだけ衣類で体温調節をしたりする工夫が重要です。

マイボーム腺が正常に機能していない

マイボーム腺の機能に異常があると、ドライアイになりやすくなります。

マイボーム腺は、涙の蒸発を抑制する役割を果たす油を分泌する分泌腺で、ドライアイの予防には欠かせない組織です。

マイボーム腺の機能に異常をきたす原因としては、マイボーム腺の機能不全や詰まりが挙げられます。

派手なアイメイクを好む若い世代では、アイラインやまつ毛エクステの接着剤がマイボーム腺を塞ぐことでドライアイになるケースが多いです。

40代でもインラインメイクをする人は同じようにマイボーム腺の詰まりを引き起こす可能性がありますが、この年齢ではマイボーム腺機能不全のリスクが増え始めます。

60歳になると有病率は人口の約半数にもなるとされているため、特に注意が必要です。

エストロゲンが減少することで起こるのはBUT短縮型ドライアイですが、マイボーム腺の機能に異常がある状態では蒸発亢進型ドライアイのリスクが高まります。

更年期のドライアイを改善・対策する方法

ドライアイでスマホを見るのがつらく、目を押さえる更年期の女性

更年期では、以下の方法でドライアイの改善・予防に努めましょう。

眼科で処方された点眼薬を使用する

ドライアイの治療では、眼科で処方された点眼薬を使用することが推奨されます。

市販の点眼薬は、使い方や成分によってはドライアイを悪化させてしまうリスクがあります。

眼科で目の状態やドライアイの種類をしっかり検査したうえで適切な点眼薬を処方してもらい、正しい用法・用量で使用することが大切です。

特に更年期では、ドライアイの原因がシェーグレン症候群である可能性が懸念されるため、点眼薬を処方を目的としていなくても直接眼科を受診するのがよいでしょう。

意識したまばたきや目の休憩を取り入れる

ドライアイの予防・対策のためには、まばたきを意識して行ったり、目をたまに休ませたりしましょう。

スマートフォンやタブレットの操作に集中すると、無意識のうちにまばたきの回数が減少する傾向があります。

ドライアイだと感じやすい人は、意識して目をつぶるように心がけましょう。

また、たまに目を閉じて数分休ませる時間を作ることも大切です。

水分補給をこまめに行う

身体の水分が不足すると涙の分泌量も減少するため、水分を十分に摂取することが重要です。

水分補給は、ドライアイを含めた更年期のドライシンドロームに重要な役割を果たします。

特に更年期では口渇を伴うケースも多いため、利尿作用の強い飲み物を避けてこまめに水分を摂取するようにしましょう。

周辺環境の乾燥を防止する

ドライアイを予防・改善するためには、周辺環境の乾燥を防止することが大切です。

加湿器や濡れタオルなどを用いて、生活する環境が乾燥しないように注意する必要があります。

また更年期障害では、体感温度が高くなったり低くなったりするケースがあるため、エアコンの温度を極端な値に設定しないように気を付けましょう。

質の高い睡眠を十分にとる

更年期のドライアイ対策には、良質な睡眠を十分にとることが重要です。

睡眠は目や身体の不調を整えるのに重要な役割を果たすため、不足しないように注意する必要があります。

また更年期の睡眠不足は、自律神経の乱れを引き起こし涙の供給を減らす可能性があります。

寝る直前までスマートフォンやテレビの画面を見ると睡眠の質が低下し、目への負担にもなるため、睡眠1時間前までには画面を閉じるようにしましょう。

まとめ

更年期とドライアイの関係や、予防・対策のポイントを紹介しました。

更年期になると、さまざまな要因によりドライアイになりやすくなります。

更年期症状には、違う病気が隠れているリスクも懸念されるため、放置せず医療機関を受診することをおすすめします。

こにし・もりざね眼科では、3つのタイプのドライアイそれぞれに適した専門的な治療法の提案が可能です。

角膜や結膜の異常のほか、老眼や加齢黄斑変性などの年齢に伴い発症リスクが高まる目の疾患を総合的に診断・治療します。

更年期の目に気になる症状が現れた場合は、放置せずお気軽にご相談ください。