
ドライアイはよくある疾患の一つと考えられることが多いですが、目が乾くだけではなく、頭痛やその他の全身症状を併発する可能性があります。
ドライアイが直接他の症状を引き起こすわけではないため、身体の不調がドライアイによるものだと気づかないケースが多いです。
ドライアイからくる症状に悩まされている人は、QOLの低下やストレスの蓄積につながる前に適切な治療を受けることが大切です。
この記事では、ドライアイで頭が痛いと感じる原因や、ドライアイを予防する方法を紹介します。
心当たりのない頭痛に悩まされている人や、目・身体の調子が悪いと感じる人は参考にしてください。
ドライアイが頭痛を引き起こす理由

ドライアイが頭痛を引き起こすのは、目の異常によって発生した肩こりや疲れがストレスとなり、片頭痛や緊張性頭痛につながるためです。
ドライアイや眼精疲労などの目の不調を伴っている状態では、目の痛みや疲れだけではなく、肩こり・頭痛・吐き気などの全身症状を引き起こしたり、精神状態に影響を及ぼしたりする可能性があります。
また涙の分泌が極端に少ない場合は、炎症性疾患が潜んでいる危険性があり、この場合も頭痛を伴うケースが多いです。
ドライアイに加えて全身に原因不明の症状がある場合は、放置することで生活の質を損なう可能性が高いため、早めに眼科を受診して適切な治療を受けることが推奨されます。
ドライアイが引き起こす症状

ここからは、ドライアイが引き起こす症状について紹介します。
目の症状
ドライアイの基本的な症状は以下の通りです。
- 目が乾く
- 目がしょぼしょぼする
- 目がかすむ
- 目がぼやける
- 目が充血する
- 目が痒い・痛い
- 目に違和感がある
- 目が疲れる
- 目が開けにくい
- 目ヤニが出る
- 涙が出る
- 光が眩しく感じる
ドライアイは、目の不快感や見えづらさを伴う疾患です。
目が乾くことでさまざまな症状が現れ、重症化すると目を開けていられない状態になったり、目の粘膜に傷がついた状態になったりします。
ドライアイは市販の点眼薬である程度の症状緩和が見込めるため、病院に行かずに放置する人もいますが、重度になるとセルフケアだけでは不十分になる可能性があります。
また点眼薬を自己判断で使いすぎるとドライアイを悪化させるリスクが懸念されるため、眼科を受診して適切な治療を受けることが望ましいです。
さらに市販の点眼薬には防腐剤が含有されているものがあり、長期にわたって使用することでアレルギーを発症する可能性があります。
そのため眼科で検査を受けて、自分のドライアイに合わせた種類の点眼薬を処方してもらったほうがよいでしょう。
身体の症状
ドライアイが眼精疲労を引き起こすと、間接的に以下のような身体の症状が現れる可能性があります。
- 頭痛
- 首や肩の凝り
- 倦怠感
- 吐き気
- めまい
- 集中力の低下
ドライアイは重症化すると目にとどまらず身体にまで症状がおよび、ストレスから自律神経の乱れを引き起こすリスクがあります。
ひどい場合は、頭痛や肩こりに限らず吐き気やめまいを伴う可能性もあるため、軽く考えずに眼科を受診することが大切です。
身体の不調によって生活に支障がおよぶと、勉強や仕事、睡眠などの質にも悪影響を与えるため、そうなる前に早めに対処しましょう。
ドライアイの原因

ドライアイの原因には、以下のものがあります。
年齢
加齢に伴い涙の分泌量が減少すると、ドライアイになりやすくなります。
特に40歳を過ぎた人は、涙の量が著しく低下する傾向にあるため注意が必要です。
また、目の潤いを保つホルモンであるエストロゲンが減少すると、ドライアイの症状があらわれやすくなります。
エストロゲンは女性ホルモンであるため、男性よりも女性の方がドライアイになりやすいとされています。
スマートフォン・パソコン
スマートフォンやパソコンの画面の見過ぎは、ドライアイの代表的な原因の一つです。
至近距離で凝視したり、何時間も続けて画面を見続けたりすると、目に負担がかかるだけではなく、無意識にまばたきの回数が減り、涙の蒸発量が増加します。
さらに涙の供給量が減少するため、目の水分が不足しドライアイを引き起こします。
スマートフォンを一日中見続ける生活をしている人や、パソコンを見る時間が長い仕事をしている人は注意が必要です。
空気の乾燥
空気が乾燥していると、ドライアイを引き起こしやすくなります。
例えば、肌が乾燥しやすい冬は、同様に目も乾燥しやすいです。
また、夏場でもエアコンの効いた室内に長時間滞在することでドライアイになる可能性があります。
エアコンの風は、顔に直接当たることで涙が乾き、ドライアイを誘発する原因になるため注意が必要です。
コンタクトレンズの装着
コンタクトレンズを装着していると、ドライアイになりやすくなります。
コンタクトレンズは目の表面にある涙を吸い上げるため、涙の層で覆われていた目が乾燥しドライアイを引き起こします。
特に含水率の高いソフトコンタクトレンズは着け心地がいい反面、涙の吸収と蒸発を速めるため、より乾燥しやすいです。
またコンタクトレンズの装着により目が覆われた状態では、新しく分泌された涙が目を潤せず、まばたきをしても涙の交換が上手く行われません。
ドライアイがある状態でコンタクトレンズを使用したい場合は、種類を変更したり汚れが溜まらないようにしっかり手入れしたりする工夫が必要です。
アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎を発症している場合、炎症が原因で目の表面に涙が留まりにくくなるため、ドライアイになりやすくなります。
反対にドライアイを発症している場合、目の防御機能として働く涙が不足するため、アレルギー性結膜炎を併発しやすいです。
ドライアイとアレルギー性結膜炎は互いに誘発し合うほか、軽度のドライアイがアレルギー性結膜炎によって重症化するリスクもあるため、悪影響を及ぼし合う関係であるといえます。
自己免疫疾患がある
涙腺や涙の分泌が正常に機能しなくなる疾患がある場合、ドライアイの症状が強くなる可能性があります。
自己免疫疾患であるシェーグレン症候群では、涙腺を含む全身の外分泌腺の働きが阻害されるため、ドライアイのほかにも多くの全身症状がみられます。
スティーヴンス・ジョンソン症候群は、薬剤やウイルス感染が原因で引き起こされ、シェーグレン症候群と同様さまざまな全身症状を発症する疾患です。
涙の分泌自体に問題がある場合はこれらの疾患が潜んでいる可能性があり、医療機関での治療が必要になるため、早めに受診することが重要になります。
ドライアイによる頭痛を予防するためには

ドライアイによる頭痛を予防するためには、ドライアイから目を守るように工夫することが大切です。
ドライアイは完全に回復することはないとされている疾患であるため治し方はありませんが、対策することで症状の緩和が見込めます。
ここからは、自身でできるドライアイ対策について紹介します。
目を時々休ませる
目を酷使する作業をする際は、たまに目を休ませるようにしましょう。
パソコンやスマートフォン、テレビなどのデジタルデバイスの使用によって目の疲れや痛み、肩こりや頭痛などの症状や精神面への悪影響を伴う疾患をVDT症候群といいます。
VDT症候群の対策には、画面を見続ける作業が1時間を超える場合、あいだに10〜15分ほど目の休憩を取り入れるのが有効です。
可能であれば、1時間の作業中にもこまめに休憩をはさむようにしましょう。
ドライアイの症状を感じやすい人は、画面を見る作業以外でも目を時々つぶったり、長時間同じ姿勢にならないように身体を動かしたりするのがおすすめです。
パソコンやスマホの使い方を工夫する
パソコンやスマートフォンを使用する際は、目に負担がかからないように工夫することが大切です。
至近距離での画面の凝視はドライアイの原因になるため、パソコンの場合は約60cm、スマートフォンの場合は約30cmは目を離して使用するようにしましょう。
また、画面の位置が高いと目を見開くことで乾きやすくなるため、スマートフォンやパソコンは見下ろす位置に配置し、目線が下を向くように使用するのがおすすめです。
さらに、寝不足や睡眠の質の低下は頭痛につながる恐れがあるため、寝る前の数十分、可能であれば1時間はできるだけスマートフォンやテレビなどの画面を見ないように心掛けましょう。
使用するメガネやコンタクトレンズを工夫する
使用するメガネやコンタクトレンズの種類を工夫して、ドライアイを予防しましょう。
コンタクトレンズはメガネと比較してドライアイになりやすく、症状が重度の場合は着用による痛みを伴うケースもあります。
ドライアイ対策をするにはコンタクトレンズの使用を避けることが推奨されますが、使い続ける場合は低含水レンズや1dayタイプを選択する、使わない時はなるべく早く外すなどの工夫をしましょう。
メガネを使用してもドライアイの症状が辛い場合は、目のまわりを高湿に保つ効果があるメガネを使用するのがおすすめです。
まばたきを意識的に行う
ドライアイだと感じる人は、普段から意識的にまばたきをしましょう。
パソコンやスマートフォンの操作に集中すると、無意識のうちにまばたきの回数が減り、目の表面への涙の供給が不足します。
まばたきをしているつもりでも、まぶたが閉じ切っていないまばたきや、閉じる力が弱いまばたきでは涙液の分泌が促されないため、目の乾きを潤すのに不十分です。
意識してまばたきをするほかに、ぎゅっと目を閉じて開く動きを行うことで、目の潤いに必要な油分が分泌され、よりドライアイの対策に効果を発揮します。
アイメイクの仕方に気をつける
アイメイクをする際は、まつ毛の内側へラインを引くのは避け、マスカラやアイシャドウはクレンジングでしっかり落とすようにしましょう。
マスカラやアイシャドウを粘膜部分に施すと、マイボーム腺(まぶたにある皮脂腺)を塞ぐことで油の産生が妨げられるため、涙が蒸発しやすくなります。
つけまつげの接着剤もマイボーム腺を閉塞する原因になるため、メイクオフの際には肌や粘膜を傷付けないようにしっかり除去することが大切です。
インラインメイクをしたい場合は、専用の洗浄液を使用して目元を清潔に保つ工夫をしましょう。
マイボーム腺の詰まりを解消する
温罨法やマッサージなどを活用してマイボーム腺の詰まりを解消しましょう。
これによってマイボーム腺の油分が溶けて柔らかくなり、分泌が促進されることで目の乾きを防ぐ効果が期待できます。
アイマスクやホットタオルで目元を温めたり、お風呂に浸かりながら眼球を押さないようにまぶたをマッサージしたりするのが有効です。
マイボーム腺の油は30℃前後で溶けるため、少し高めの40℃くらいの温度で10〜15分ほど温めると効果的です。
空気の乾燥を防ぐ
空気が乾燥する環境では、加湿器を使用したり濡れタオルを干したりして湿度を保つ工夫をしましょう。
季節に関係なく、エアコンが効いた部屋は乾燥しているため、ドライアイの悪化につながります。
室内の湿度は約50%を保ち、エアコンの風が直接顔に当たらないように配慮することで目の乾燥を防止することが大切です。
ドライアイ対策に効果的な栄養を摂取する
目の健康に必要な栄養を積極的に摂取して、ドライアイの対策に努めましょう。
網膜を守る働きや角膜の代謝を促す効果があるビタミンAや、目の粘膜を保護し充血・目の疲労などを予防するビタミンCは緑黄色野菜に豊富に含まれます。
眼精疲労を改善するビタミンB群は、豚肉やナッツ・きのこなどから摂取が可能です。
他にも甲殻類に含まれるアスタキサンチンや、青魚に含まれるEPAやDHAにも目の機能や健康を正常に保つ働きがあります。
ドライアイではない人も、普段からバランスの取れた食事を意識してドライアイを予防するのが理想です。
まとめ
ドライアイが頭痛を引き起こす原因や対策法を紹介しました。
ドライアイの患者さんが必ずしも頭痛を併発するとはかぎりませんが、頭痛を伴うドライアイは重症化している可能性があるため、軽く考えずに眼科を受診しましょう。
こにし・もりざね眼科では、専門的な検査によってドライアイのタイプを診断し、患者さんに合わせた適切な治療方法を提案します。
ドライアイをはじめとした角膜・結膜の疾患に総合的に対応しているため、少しでも目の不快感を感じている場合はまずお気軽にご相談ください。