オルソケラトロジーの費用はいくら?比較や医療費控除についても解説

眼科での目の検査

オルソケラトロジーは手術が必要なく、睡眠中にレンズを装着するだけで近視の視力矯正効果が期待できる治療法です。

ただし、保険適用外で自費診療となるため、費用面が心配な方もいるかもしれません。

この記事では、オルソケラトロジーにかかる費用の相場や内訳、他の矯正方法との比較、費用を抑えるための医療費控除についてなどを解説していきます。

オルソケラトロジーの費用総額が知りたい方、コンタクトレンズや視力回復手術との比較検討がしたい方は、ぜひ参考にしてください。

オルソケラトロジーにかかる費用相場

計算機と数枚の1万円札

オルソケラトロジーは、手術を必要としない視力矯正方法として注目されていますが、費用面が気になる方も少なくありません。

ここでは、オルソケラトロジーの費用の総額や内訳について紹介します。

費用の総額

オルソケラトロジーは保険適用外となっていて、クリニックごとに金額が違う自費診療の治療です。

6〜65歳頃が適応年齢となりますが、クリニックによって年齢制限があったり、もっと高齢でも対応できたりするため、問い合わせして聞いてみましょう。

クリニックによってレンズの価格設定が違い、診療費や検査費がレンズ費用に含まれていることもあるため、総額がいくらになるのかわかりづらいかもしれません。

オルソケラトロジーの治療では、初年度の総額は年間15万〜20万円が一般的です。

その後は定期検査費用やケア用品費用、レンズ交換費用がかかる場合もありますが、クリニックによりさまざまです。

子どもと大人でも、費用の違いはありません。

なお、両目の治療を前提とした価格を記載しているため、片目の場合は費用が変わる可能性があります。

初診・適応検査

オルソケラトロジーを希望する場合、最初に適応検査を行います。

初診と適応検査の費用は、5,000円〜6,000円ほどです。

ただし、クリニックによっては「オルソケラトロジーの初期費用」として診察や適応検査などの諸費用がまとめられていることもあります。

また、オルソケラトロジーは近視だけではなく乱視の矯正も可能です。

適応条件として乱視の度数は-1.50Dとされていますが、乱視の矯正効果があるかどうかは人それぞれです。

検査の結果、乱視が強く適応外になってしまったり、テスト装用で乱視の矯正が思うようにできなかったりする可能性もあり、本治療に進まない選択をすることもできます。

テスト装用(レンズ)

オルソケラトロジーの適応条件を満たして合うレンズを選ぶと、実際にオルソケラトロジーを体験するテスト装用を行います。

テスト装用に使用するトライアルレンズの費用は、3万円〜5万円です。

クリニックによって期間が違い、1週間〜1ヶ月の間レンズを装着して、レンズの装着感や視力の回復度合いなどを確認して、本治療をするか選択します。

テスト装用は希望制の場合もあり、クリニックによってさまざまなため、テスト装用の費用が総額の金額に含まれているかどうか、事前に確認しておきましょう。

また、テスト装用のみで本治療をしない場合はレンズの費用が返却される場合もあります。

反対に、本治療に進むときに料金が追加される場合もあり、クリニックによって料金の設定が違うため、事前に確認が必要です。

レンズ費用

本治療に進むときに支払う金額は、どのようなものが含まれているかによって変わってきます。

レンズの費用のみとしては、8万円〜25万円と幅広く、クリニックごとの価格設定に差があります。

定期検査代やレンズの費用などがすべて含まれた月ごとの定額制だったり、レンズ費用と定期検査や診療費用、ケア用品などがそれぞれ別になっていたりするため、比較が難しいかもしれません。

ケア用品費用

初回はレンズ費用に含まれている場合もありますが、別で購入するとしたら1ヶ月に換算すると1,500円ほどかかります。

ケア用品は以下のようなものが必要です。

  • レンズ洗浄液
  • レンズ保存液
  • タンパク質除去液
  • レンズケース
  • 脱着用スポイト

洗浄液、保存液、タンパク質除去液が1つで行える市販の製品もありますが、必ず『オルソケラトロジー対応』と表記されているものを選んでください。

また、レンズケースの汚れや劣化対策のため、数ヶ月ごとに買い替えて清潔を保ちましょう。

定期検査費用

オルソケラトロジーの本治療が始まると、最初は1〜2週間ごとから1ヶ月ごと、3ヶ月ごとなど、指示された定期検査を受けて視力の推移や目の状態、レンズの傷や汚れのチェックなどを確認します。

定期検査1回の費用は3,000円〜6,000円ほどとなります。

初年度の定期検査はレンズ代に含まれていたり、定額制で1ヶ月の金額が決まっていたりするため、定期検査の通院で支払いが必要なのか事前に確認しておきましょう。

レンズ交換費用

正しい使用方法と洗浄をしていても、オルソケラトロジーのレンズは2〜3年で交換が必要です。

レンズ交換費用は、両目で3万円〜5万円ほどとなります。

定額制の場合は、交換費用も含まれていて支払いがないケースもあるため、最初の契約時に確認しましょう。

また、ほとんどはレンズの交換保証もついていますが、メーカーやクリニックごとに保証内容が異なり、破損や処方変更による交換に対応できるかなどが違ってきます。

多くは年数やレンズの状態など、保証できる条件が決まっていて、選ぶメーカーによっては保証がついていないこともあるため、治療前に保証の内容についてきちんと確認しましょう。

ただし、紛失の場合は別料金がかかり、再購入になる場合があるため注意してください。

他の矯正方法との比較

コンタクトレンズとコンタクトレンズケース

オルソケラトロジー治療は自費診療となり、高額なため検討が必要です。

安く感じるか、高く感じるかは人それぞれ違い、金額よりもメリットやデメリットで選ぶ場合もあるでしょう。

ここでは、他の矯正方法とオルソケラトロジーの費用面や向いている人などを比較して解説します。

メガネ

メガネは視力が大幅に変わったり、サイズが合わなくなったりすると作り直しが必要になります。

1度作ると長く使えて、費用も作るときや買い替えのときに発生するため、いつどれくらいの費用がかかるのかわかりやすいでしょう。

価格は1万円未満からあり、選ぶメガネによっては数万円で何年も使えると考えれば、オルソケラトロジーより価格が抑えられるのではないでしょうか。

強い近視や乱視、遠視、老眼など幅広く対応でき、視力や年齢の制限がなくドライアイなどの目の疾患があっても使用できます。

ただし、壊れる心配のあるスポーツには向かなかったり、日常生活で着け外しが煩わしく感じたりする方もいます。

メガネの形が合わず、こめかみや鼻の部分が痛くなる、頭痛がするなどの不具合がある場合もあります。

オルソケラトロジーはレンズの装着さえできれば、日中の不便さはメガネよりは低くなる可能性が高いでしょう。

ソフトコンタクトレンズ

ソフトコンタクトレンズは、少し大きめの柔らかい素材のレンズを装着する矯正方法で、近視や乱視、遠近両用、カラーコンタクトなど種類も豊富です。

ケアが簡単で続けやすいため、1日で使い捨てができるソフトコンタクトを使う方が多いです。

ソフトコンタクトレンズは1ヶ月分の両目で約6,000円、1年間で約72,000円の費用がかかります。

購入の方法によって同じレンズでも価格の差があったり、毎日使用しないと消費ペースにズレが出てきたりはします。

価格面では初期費用を考えるとオルソケラトロジーが高くなります。

しかし、1ヶ月の料金が決まっている定額制の眼科の場合、初年度以外はソフトコンタクトレンズよりもオルソケラトロジーの方が価格が低い可能性があります。

ソフトコンタクトレンズは装着時のみ視力が矯正されるため、水泳や対人競技などで不便を感じる方は、レンズの装着時間が睡眠時だけのオルソケラトロジーを検討してもいいのではないでしょうか。

レーシック手術

レーシックとは、レーザーで角膜を削って屈折率を調節し、視力を回復させる手術です。

クリニックによってレーシック手術の価格には差があり、20万円〜50万円ほどかかります。

オルソケラトロジーは継続治療なのに対し、レーシックの手術は1度で済むため、費用が発生するのは手術時と、その後の定期検診のみとなります。

ただし、レーシック手術は未成年には対応していないため、子どもの場合は手術ができません。

近視の進行を抑制する効果はなく、視力回復を目的としています。

角膜の状態や近視の度合いによって、不適応となる場合があります。

角膜を削るという手術方法のため、1度手術すると元には戻せないということを理解しておきましょう。

また、1度レーシック手術を受けている場合、オルソケラトロジー治療は受けられないため注意してください。

ICL手術

ICL手術は、目の中に特殊な眼内レンズを挿入して屈折力を調節して、近視や乱視、遠視など、さまざまな症状に対応できる手術です。

ICL手術時と定期検診の際に費用がかかり、40万〜80万円ほどとなります。

症状や使用するレンズの種類、クリニックによって価格に差があるため、治療の前に確認が必要です。

1度手術すると、レンズを挿入している限りは視力を保つことができますが、オルソケラトロジーやレーシック手術と比較すると高額になる傾向があります。

また、レーシック手術は角膜を元に戻せないのに対して、ICL手術はレンズを取り出せば元の状態に戻すことができるため、将来目の病気になったときには再手術が可能です。

オルソケラトロジーの費用を抑える方法

計算機と豚の貯金箱

オルソケラトロジーの費用は最初の1年で約15万〜20万円となりますが、自費診療のため保険が適用されません。

費用面で悩んでしまう場合のために、少しでも費用を抑える方法を紹介します。

定額制(サブスクリプション)

オルソケラトロジーの治療をすると、総額どれくらいかかるのかが心配になってしまう方は多いのではないでしょうか。

本治療を決めた時点で2〜3ヶ月分をまとめて支払い、3〜4ヶ月後から毎月6,000円〜8,000円を定額で支払うという方法が多くなっています。

  • レンズ費用
  • 3ヶ月ごとの定期検査費用
  • レンズ交換費用   など

定額制で支払う金額の中に何が含まれているかはクリニックにより違いがあるため、事前に確認しておきましょう。

レンズ交換費用は別だったり、ケア用品費用が含まれていたりして、クリニックによって設定している内容はさまざまです。

定額制(サブスクリプション)を取り入れている場合は月々の支払額が決まっているため、計画が立てやすいというメリットがあります。

医療費控除

医療費控除とは、1月〜12月の1年間にかかった医療費が10万円を超えた場合、確定申告で所得課税の控除が受けられる制度です。

オルソケラトロジーはメガネやコンタクトレンズのような視力矯正とは違い治療であり、始めにかかる金額は年間で10万円以上になるため、医療費控除の申請ができます。

医療費控除の申請をする場合、以下のようなことに注意しましょう。

  • 生活費を共にしている家族(同一生計)の医療費も一緒に計算できる
  • 通院のための公共交通機関料金、医療品・医薬品費(市販品含む)も同一生計者分まとめられる
  • ガソリン代、タクシー代は対象外
  • レンズケア用品は対象外
  • 総所得が200万円未満の場合は5%が控除の対象
  • かかった費用の領収書が必要なため保管しておく   など

ただし、オルソケラトロジー治療に対する支払いが減額されるわけではなく、その年の所得税から控除される制度なため、注意しましょう。

具体的にどの程度控除されるのかは所得総額により変わるため、医療費控除について詳しく知りたい方は国税庁のホームページを確認してください。

まとめ

オルソケラトロジーは保険適用外のため自費診療となり、15万〜20万円の費用がかかります。

どのようなものが含まれているかはクリニックによって違いがあるため、事前によく確認しておきましょう。

子どもの近視の進行抑制が目的の場合、成人前後まで長期的な治療を続ける可能性があり、かかる費用をある程度把握しておくのが重要です。

オルソケラトロジー治療の費用がどれくらいかかるかはクリニックによって差があるため、他の矯正方法との比較と共に検討し、合う方法を選択してください。

こにし・もりざね眼科では、オルソケラトロジー治療を始めとして、お子様から大人まで幅広く診療を行っています。

人と人として向き合うことを大切に、さまざまな目の悩みについて相談をしていただけるよう努めております。

お子様の近視に悩んでいる親御様や、オルソケラトロジーを検討している方は、ぜひお気軽にこにし・もりざね眼科へご相談ください。