近視と遠視の違いは?乱視・老眼とは?特徴や見え方、矯正方法を解説

メガネを両手で押さえる女性

近視は近くが見えて遠くが見えないのは、多くの人が認識しているでしょう。

それでは遠視は?乱視や老眼は?と聞かれたら、自分が近視だったり、老眼だったりするなら状態が説明できても、違いとなると難しいかもしれません。

近視と遠視、乱視、老眼は原因も見え方も違います。

この記事では、それぞれの特徴や矯正方法まで、詳しく解説していきます。

自分はどれに当てはまるのか悩んでいる方や、眼科に行った方がいいか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

問題ない見え方とは

教室

近視や遠視などがなく問題ない見え方とは、目の屈折異常がなく、ピント調整が正常な状態のことです。

『目で物を見る』とは、角膜を通った光がレンズの役割をする水晶体で屈折し、フィルムである網膜を通して映像として見える仕組みになっています。

網膜の上で焦点が合うようにピントが調整されていて、近くも遠くもきちんと見えるのが正常な視力です。

場面や環境、職業などで求められる視力は変わってきますが、例として普通第一種免許は両眼で0.7以上が必要です。

学校の教室でも0.7以上あれば、一番後ろの席から黒板が見えるでしょう。

0.3未満の視力だと日常生活が不便になる可能性があるため、メガネやコンタクトレンズなどで矯正するのがおすすめです。

近視の特徴

メガネをかけて笑う女性

近視とは、目に入った光線が通常なら網膜で結ばれるはずが、網膜よりも前で焦点を結んでいる状態のことです。

眼軸(眼球の長さ)が通常よりも長い、水晶体や角膜の屈折力が強すぎるなどが原因でピントが合わなくなると、近視になると考えられています。

焦点が結ばれる位置が網膜から離れる程に、遠くが見えづらく視力検査の数値も下がります。

近視の原因

近視の原因はハッキリとは分かっていませんが、大きく分けると遺伝的、環境的な要因が考えられます。

遺伝的な要因とは、両親どちらかまたは両方が近視だと、子どもが近視になる可能性が高いということです。

祖父母や他の近親者に近視の人がいる場合も、当てはまります。

環境的な要因とは、勉強や読書、ゲーム、パソコン作業などで目を酷使したり、暗い場所での作業が続いたりして目に負担がかかるケースです。

ただし、親が近視だから必ず子どもが近視になると決まっているわけではなく、環境的な要因を避けることで影響が出にくくなる可能性もあります。

近視の見え方

近視は、近くの物にはピントが合いやすく、遠くの物はピントが合わずにぼやけて見えてしまいます。

手元にある本は読みやすいけれど、学校の黒板や遠くにあるお店のメニューは読めないというイメージです。

ある程度の距離より遠くは見えづらいため、焦点を合わせようと目を細めて見ようとしすぎて、頭痛や疲労を感じることもあります。

近視の矯正方法

近視の矯正には、凹レンズを使用したメガネやコンタクトを使用するのが一般的です。

目に入る前の光線を逆方向に屈折させてピントを遠くに置くことにより、目に映る物にピントが合った状態に調節して矯正します。

遠視の特徴

メガネ

遠視は、近視とは逆に目に入った光線が通常よりも奥(網膜の後ろ)で焦点を結んでいる状態です。

遠くと近くどちらを見るにも常にピント調整が必要となり、遠くの方がピントは合わせやすいですが、近くのピントが特に合いづらく疲れやすくなります。

遠視の原因

遠視の原因は眼軸が短いことや水晶体や角膜の屈折力が弱いということがあげられますが、遺伝的な要因があると考えられます。

赤ちゃんのときは眼軸が短く、ほとんどの赤ちゃんは近くが見えづらい遠視の状態です。

体の成長と共に眼軸も長くなり、遠視は改善されていきますが、眼軸が十分に長く成長しないままだと遠視になります。

子どものうちは気づきにくいかもしれませんが、斜視や弱視などになる可能性もあります。

子どもの遠視は、保護者が気づくこともありますが、保育園や幼稚園、自治体の検診で指摘されて気づく場合が多いです。

遠視を発見したら、眼科を受診して適切な治療を受けましょう。

遠視の見え方

近視と逆と言うと、遠くが見えやすく近くが見えづらいと思いがちですが、遠視の場合は近くも遠くも見えづらいのが特徴です。

ピントを合わせるために常に目が緊張してしまい、目が疲れて眼精疲労になってしまう可能性が高くなります。

眼精疲労が重くなると、以下のような症状を引き起こす可能性があります。

  • 頭痛
  • 肩こり
  • 目の奥が痛い
  • 充血、涙目
  • まぶたの痙攣
  • 吐き気
  • 食欲不振
  • 首回りが張る
  • 集中できない   など

近視とは違い、遠視は子どもだけでなく大人も自覚症状が少ないため、ピントが合いづらい、目が疲れやすいなどの違和感がある場合は放置せず、眼科で視力検査をして遠視かどうかを診断してもらいましょう。

遠視の矯正方法

遠視の場合は凸レンズを使用したメガネやコンタクトで屈折率を調整して、網膜で焦点が結べるように矯正します。

子どもはまずメガネで矯正を始め、成長に合わせて適切な度数のメガネを変えていく治療が必要です。

年齢に応じてコンタクトの選択ができる場合もあります。

大人はメガネとコンタクトどちらでも選べますが、年齢により老眼もあるときは遠近両用レンズを使用することもあります。

乱視の特徴

メガネを持った若い女性

乱視とは、角膜や水晶体の形が歪んで屈折力が変わってしまい、目に入った光線が網膜の上で焦点が一点に定まらない状態のことです。

近視では遠くはぼやけて近くはハッキリ見えますが、乱視の場合はどこを見ても焦点が定まっていないため、ぼやけたり二重に見えたりします。

軽度だと自覚症状がなければ矯正が必要ないこともありますが、乱視の程度により矯正しないと日常生活に支障をきたす場合もあります。

乱視の原因

乱視には2種類あり、正乱視と不正乱視に分けられます。

正乱視は近視や遠視と同時に起こることが多く、生まれつきの角膜や水晶体の異常が原因と考えられます。

角膜や水晶体が非対称に歪んでしまい起こる乱視で、左右や上下、斜めなどに傾いているため焦点が定まりません。

不正乱視は怪我や病気により角膜が傷ついたり、炎症が起こったりして、生まれつき以外の要因から目の屈折率が歪む、でこぼこになるなどが原因の乱視です。

乱視の見え方

乱視は近くでも遠くでも物がぼやけて歪んだり、何重にも重なって見えたり、ハッキリと見えません。

細かい漢字が判別しづらく、線が多く見えることもあります。

また、夜間の薄暗い場所では特に見えづらい場合もあり、運転時に信号機と街灯の区別がつかないほどぼやけて見えるケースもあり、乱視を矯正しないままの運転は危険です。

乱視の矯正方法

矯正方法は正乱視と不正乱視で違います。

正乱視は近視や遠視と同時に矯正が可能で、円柱レンズでメガネやコンタクトを使用します。

ただし、近視のみ、遠視のみのレンズよりも割高になってしまう傾向があります。

不正乱視の場合は、メガネやソフトコンタクトでの矯正は完全にはできません。

ハードコンタクトでの矯正が可能となりますが、角膜の異常の場合のみで、水晶体の異常の場合は手術が必要な可能性もあります。

老眼の特徴

メガネを片手にパソコンを触る女性

老眼とは、加齢によって水晶体の弾力が衰えて、ピント調節ができなくなる状態です。

一般的に、40歳頃から老眼を自覚し始め、45歳頃には老眼鏡が必要な人も増えてきます。

『近視の人は老眼にならない』、『遠視の人は早く老眼になる』などの噂がありますが、どちらもそんなことはなく、誰でも年齢を重ねれば老眼になります。

老眼の原因

老眼の原因は、加齢により水晶体が弾力を失いピント調節ができなくなることです。

個人差はありますが、40~50歳の間に自覚して、ピント調節を補うために老眼鏡をかける人が多くなります。

遠視と老眼は近くが見えにくいという共通点はありますが、原因に違いがあり、別の現象です。

老眼の見え方

老眼になると、近くや手元が見にくくなる、違う距離にある物を見ようとするとピントが合うまで時間がかかる、暗くなると見えづらくなるなど、どのような見え方から始まるかは人それぞれ違います。

近視の場合は、もともと遠くは見えなくても近くは見えていたのが、近すぎると見えなくなり少し離した所しか焦点が合わないという状態になるため、見える範囲が狭くなってしまいます。

遠視の場合は、普段からどこを見るにもピント合わせが必要なため、老眼の自覚が早い傾向です。

老眼の矯正方法

老眼を矯正する方法としては、老眼鏡が一般的です。

1枚のレンズで遠くと近く両方が見える遠近両用の多焦点レンズと、見たい距離にピントを合わせるように作る単焦点レンズがあります。

ただし、近眼の方で裸眼だと近くも問題なく見えるなら、無理に老眼鏡をかける必要はなく、細かい作業で不便を感じたら検討してみてください。

どこを見たいかによって、近距離用・中距離用・遠距離用などメガネを使い分ける場合もあります。

また、コンタクトでも遠近両用の種類が増えて選べるようになりました。

1枚のレンズに近くと遠くそれぞれ用の度数が配置されていて、自然に切り替えができます。

近くや遠くを見るために必要な度数は個人差があるため、自分に合った度数を眼科で診断してもらいましょう。

スマホ老眼とは

スマホを操作する手

スマホ老眼とは、スマートフォンやパソコン、ゲームなどの画面を長時間見続けることにより目の筋肉が疲れてしまい、ピントがうまく合わなくなったり、老眼のような症状が出たりする状態のことです。

長時間画面を見た後に他の場所に視線を動かしたとき、すぐにピントが合わずにぼやけてしまうなどの症状があったら、スマホ老眼かもしれません。

最近は若い人にもこのような症状が多いですが、一次的な症状であれば、目を休めて時間が経てば元に戻ります。

ただし、慢性化すると視力が落ちるだけでなく眼精疲労になってしまう可能性もあるため、時間を決めて休憩する、画面との距離を開けるなどの対策をして、慢性化しないよう注意してください。

メガネ・コンタクトではない矯正方法とは?

コンタクトレンズを乗せた指

多くの症状の矯正方法として、メガネやコンタクトをあげてきましたが、それ以外にも視力の矯正方法があります。

ここでは3つの矯正方法を紹介します。

オルソケラトロジー

オルソケラトロジーとは、睡眠中にコンタクトレンズのように目に装着することで角膜の形を平らに矯正して、近視を矯正する方法です。

ハードコンタクトレンズのような見た目で、寝ている間だけ装着すると視力が矯正されて、日中は裸眼で過ごせるのが特徴です。

オルソケラトロジーは周辺のピントのズレに働きかけることができて、近視の進行を遅らせる効果が期待できます。

装着をやめると角膜が元に戻ってしまうため、効果を継続させたい方は装着を続けていく必要がありますが、メガネやコンタクトに戻したい場合は元に戻せるメリットがあります。

オルソケラトロジーは保険適用外となり、クリニックにより費用が異なりますが、初期費用を含めて1年ごとに15万~20万円ほどかかります。

メンテナンスや定期健診などで別途費用がかかる可能性もあるため、かかる費用については始めにきちんと確認しておきましょう。

当クリニックのオルソケラトロジー治療はコチラ

眼内レンズ(ICL)

眼内レンズ(ICL)とは、眼球の中にソフトコンタクトレンズのような特殊なレンズを挿入し、近視だけでなく遠視、乱視の矯正もできる屈折矯正手術です。

レンズにはいろいろな種類があり、自分の状態に合ったレンズを選べます。

目の中にレンズを入れたままにするため、取り外して手入れする手間はありません。

一方で、入れたままにもできますが、将来的に目の病気などで手術が必要になっても、レンズを取り出すことができます。

また、老眼用ICL、IPCLという手術もあり、老眼にも対応可能です。

費用は40万~80万ほどとなり、クリニックによって、または度数や乱視の入り具合によっても差が出てきます。

レーシック

レーシックは角膜をレーザーで削り、角膜のカーブを変化させて屈折力を調整して視力を矯正する手術です。

近視、遠視、乱視に対応できますが、手術の性質上元に戻すことはできません。

特殊なプログラムを利用することで、老眼にも対応可能です。

ただし、強い近視や乱視の場合、数年後に少しずつ視力が戻ってしまう可能性があります。

また、近視の度合いによっては適応外となることもあるため、あらかじめ確認が必要です。

レーシックの費用は20万~50万ほどかかり、クリニックや手術内容によって大きく変わります。

まとめ

近視と遠視、乱視、老眼の特徴を見ると、それぞれ原因も見え方も違います。

生まれつきや遺伝で現れるものもあれば、環境や年齢などで現れるものもあります。

さまざまな違いはあっても、通常のように見えていないという点では同じです。

日常生活を快適に送るためには、眼科で定期的に検査を受けて自分の状態を把握し、適切な治療を受けることが大切です。

また、無理をして物を見ようとして疲れて眼精疲労になってしまう前に、視力を矯正する方法も検討してみてください。

こにし・もりざね眼科では、人と人とのお付き合いを大切に、患者さまと向き合うあたたかい治療を目指しております。

手術しない視力回復治療としてオルソケラトロジーを取り入れているため、視力の低下に悩んでいる人はぜひお気軽にこにし・もりざね眼科へご相談ください。