
空気が乾燥した空間にいたり、スマートフォン・パソコンの画面などを長時間みたりすると、ドライアイになる可能性があります。
ドライアイは目のさまざまな不快感を伴うため、適切な治療や対処法によって症状を改善させることが大切です。
この記事では、ドライアイの原因や直す方法、自分でできる予防法について紹介します。
目の乾きや疲れが気になる、仕事でドライアイになりやすいなどの悩みがある人は参考にしてください。
ドライアイの原因

ドライアイは、体質に関係なく以下のような要因で引き起こされます。
年齢
加齢に伴い涙の分泌が減少すると、ドライアイの原因になります。
特に女性の場合、更年期になると目の潤いを保つ働きがあるエストロゲンの分泌が減少するため、男性と比較してドライアイになりやすいとされています。
40代以降の女性は涙の分泌量が顕著に減少するため、該当の年齢になった女性は特に注意が必要です。
季節や環境
乾燥しやすい季節や環境では、ドライアイになりやすいです。
冬は空気が乾燥し、目の表面にある涙が蒸発しやすくなるため、ドライアイの原因になります。
夏は冬と比較して湿度が高いですが、エアコンが効いた室内は乾燥していたり、風が目に当たったりするため目の乾きを感じやすいです。
夏場でも長時間屋内に滞在する場合は、ドライアイにならないように注意しましょう。
コンタクトレンズの使用
コンタクトレンズを使用している人は、ドライアイになりやすいとされています。
コンタクトレンズは目の表面の水分に乗せて着用するため、長時間使用するとレンズが水分を吸い上げ、目の潤いを奪います。
特にソフトコンタクトレンズは含水率が高く着け心地は快適ですが、水分を吸いやすく蒸発が速いためドライアイの原因になりやすいです。
またコンタクトレンズを長期間着用すると、新鮮な涙が目に供給されにくい状態が続くため、ドライアイの悪化につながります。
スマートフォンやパソコンの凝視
スマートフォンやパソコンの画面を見すぎることは、ドライアイの原因になります。
これらの使用中は無意識のうちにまばたきの回数が減り、涙の供給が不十分になったり蒸発する量が増えたりするため、目が乾燥しドライアイを引き起こしやすくなります。
特に、画面を至近距離で凝視するとドライアイになりやすく、目に大きな負担がかかるため注意が必要です。
ストレス
ストレスは、ドライアイを引き起こす原因の一つです。
緊張やストレスがある状態では交感神経が優位になり、涙の分泌量が減少します。
ドライアイ防止のために副交感神経を優位な状態にするには、リラックスする時間を設けてストレスの解消に努めることが大切です。
アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎とドライアイは、互いに悪影響を及ぼす要因になります。
花粉やハウスダストなどのアレルゲンが目の粘膜に付着し、目が充血したり痒くなったりする状態をアレルギー性結膜炎といいます。
アレルギー性結膜炎になると、目に炎症が生じることで乾きやすくなり、ドライアイになりやすいです。
またドライアイになると涙の分泌量が減少し、目の粘膜にアレルゲンが留まりやすくなるため、アレルギー性結膜炎を悪化させたりアレルギー反応を引き起こしやすくなったりします。
このように、ドライアイとアレルギー性結膜炎はお互いにマイナスの影響を与え、両方を発症すると悪循環に陥る恐れがあります。
マイボーム腺の詰まり
まぶたに存在するマイボーム腺が詰まると、ドライアイになりやすくなります。
マイボーム腺は、油を分泌することで涙の乾き防止の役割を果たす外分泌腺で、これが詰まると涙の蒸発が進行し、目が乾燥する原因になります。
目元に用いるアイメイク用品の使用や脂質の固化が、マイボーム腺の詰まりを引き起こす主な要因です。
インラインメイクや、まつ毛の根元までしっかり施したマスカラやアイシャドウ、つけまつ毛の接着剤などは、特にマイボーム腺の詰まりを引き起こしやすいため注意しましょう。
ドライアイの症状

ドライアイになると、目に以下のような不快感が生じる可能性があります。
- 目の乾燥
- 目が疲れる
- 目が痒くなる
- 目がゴロゴロする
- 目がしょぼしょぼする
- 目が重い
- 目が痛い・ヒリつく
- 目がかすむ・見えにくい
- 目が充血する
- 目やにが出やすい
- 何もしていないのに涙が出る
ドライアイによる症状が慢性化すると、生活の質が低下しストレスにつながる恐れがあります。
ドライアイを放置すると、視界がぼやけて周りが見えづらくなったり、角膜感染症を引き起こしたりするリスクがあるため、放置は禁物です。
目に違和感を感じやすい人や、当てはまる症状がある人は、医療機関で適切な治療を受けることをおすすめします。
ドライアイの治療法

ドライアイの根本治療は難しいですが、治療法には以下のような種類があります。
点眼治療
点眼治療は、点眼薬を用いて涙の不足を補填したり、角膜に出来た傷を修復したりする治療法です。
人口涙液やヒアルロン酸点眼液などの種類があり、ドライアイが重症化しているケースでは、症状を緩和するステロイド点眼薬を使用する場合もあります。
点眼薬には、しみる・苦みを感じるなどの副作用を伴うケースがあるため、処方された点眼薬の特徴については眼科医に確認しておきましょう。
こにし・もりざね眼科では、ヒアルロン酸点眼・ムチン分泌促進剤点眼・ステロイド点眼などの点眼薬を患者さんのドライアイのタイプに合わせて処方します。
涙点プラグ
涙点プラグは、涙が流れていく涙点という穴に小さなプラグを挿入し、涙の排出を阻止することで目に涙を溜める治療法です。
涙が流れていくのを防ぐほか、目が点眼薬の効果を取り込みやすくする効果もあります。
おもに水分が不足するタイプのドライアイに用いられる方法で、シェーグレン症候群のような重度ドライアイ患者の治療に効果的です。
シェーグレン症候群の患者さんの場合、点眼治療か涙点プラグによる治療が一般的ですが、稀に飲み薬による治療を行うケースもあります。
装着している間は長期間でも持続して効果を得られますが、日常生活の中で外れてしまう可能性があります。
涙点プラグはドライアイの改善に高い効果を発揮しますが、涙の分泌機能がある程度残っている場合は、反対に涙が出やすくなるのがデメリットです。
また、プラグに対するアレルギー反応が生じるリスクも認識しておきましょう。
温罨法
温罨法とは、身体の一部に温熱刺激を与え、循環や排出などの機能を改善する方法です。
目元を温めることでマイボーム腺の油が溶けるため、詰まりの解消に効果が期待できます。
ホットアイマスクやカイロなどを用いて、40度ほどの温度で10分前後温めると効果的です。
リッドハイジーン
リッドハイジーンでは、まぶたの縁をきれいに洗浄することで、マイボーム腺機能の回復が見込めます。
油の排出を促すほか、角化物によるマイボーム腺の詰まりを改善し、周囲の細菌を減らす目的で行われます。
専用の洗浄液を用いて洗ったり、まつ毛の根元をマッサージしたりするとより効果的です。
ティクセル
ティクセルは、マイボーム腺機能不全の治療を目的として開発された医療機器で、瞼結膜側から直接マイボーム腺を温めたり、振動を与えたりすることで油の圧出を促します。
治療にかかる時間が短く、まぶたを軽く圧迫する程度であるため出血は伴いません。
効果を得るためには、約2週間に1回、計3回の治療を受ける必要があります。
ドライアイは何が不足していると起こる?

ドライアイは、水の成分や油の分泌が不足することで起こるため、予防のためには食事にビタミン(A・C・D・B1・B2)、オメガ3脂肪酸、ラクトフェリンなどを積極的に取り入れ、水分補給を適切に行いましょう。
ドライアイには、涙の水分量が不足するタイプと、涙の蒸発を防ぐ油の分泌が不足するタイプがあります。
涙の水分量が不足するタイプのドライアイは、シェーグレン症候群という炎症性疾患が潜んでいる可能性があるため、早めの受診が推奨されます。
ビタミンAは、目を乾燥から守るヒアルロン酸やムチンの産生・分泌に働きかける栄養素です。
その他のビタミンやオメガ3脂肪酸、ラクトフェリンなども目の健康を維持するのに必要であるため、ドライアイの人はこれらの栄養素を意識して摂取するのがおすすめです。
また水分は目の健康維持や涙の分泌に総合的に関わるため、十分な量を補給するよう心掛けましょう。
ドライアイはどのくらいで治る?

「ドライアイがどれくらいで治るのか」という疑問に対しては、ドライアイは治療をしても完治しないとされている疾患です、と答えるのが一般的です。
点眼薬で不足している涙を補う治療の場合は、効果がでるまでに数ヶ月〜半年かかるとされています。
ドライアイはいつ治る、とは断言できませんが、月1回程度の通院から始め、症状が落ち着いてきたら回数を減らしながら、根気強く付き合っていく必要がある疾患です。
ドライアイを予防するために

ここからは、ドライアイを予防するために自分でできる対策を紹介します。
目の乾きを感じた場合の対処法や応急処置、どうすればいいか分からない場合の改善方法としても参考にしてください。
コンタクトレンズを控えメガネを使用する
コンタクトレンズを使用すると目の乾きを感じやすいため、可能なかぎりメガネを使用しましょう。
メガネのなかには、目の乾燥を防ぐ効果がある種類も販売されているため、強いドライアイに悩まされている人におすすめです。
コンタクトレンズを使用する際は、ハードコンタクトレンズや低含水レンズを選択する、1dayタイプの使い捨てレンズを選択する、不要な時は外して着用時間を短くするなどの工夫をすることで症状の緩和が見込めます。
まばたきを意識する
意識してまばたきの回数を増やすことで、ドライアイの予防に効果が期待できます。
まばたきの回数が少ないと、涙が蒸発しやすくなり、涙液の分泌量も減少します。
また、まばたきの回数が十分でも、目がしっかり閉じられていないとドライアイになりやすいです。
目が乾きやすい・疲れやすいと感じる人は、意識的にまばたきをして目に潤いを与えるようにしましょう。
正しいまばたきのために筋肉を鍛えるには、まぶたの体操やトレーニングがおすすめです。
たまに目を休ませる
目を酷使する作業や、一つのことに集中する際は、たまに目を休ませることが大切です。
パソコンやスマートフォンの画面を見る場合は、一連の作業を1時間以上継続して行わないことと、作業と作業のあいだに10〜15分の休憩を取ることが推奨されます。
ドライアイの場合は、1時間のなかにも少しだけ目を閉じる時間を設けたり、パソコンの画面を目線が下になるように設置したりするなどの工夫をして、目を乾燥から守るようにしましょう。
エアコンによる乾燥に注意
エアコンが効いた部屋は湿度が低く、ドライアイになりやすいため注意が必要です。
加湿器がある場合は、併用することで目の乾燥を防止できます。ドライアイを防ぐためには部屋の湿度を50%程度に保つのが有効です。
またエアコンを使用する場合は、風が顔に直撃しないように角度を調節する工夫をしましょう。
マイボーム腺の詰まりを予防する
油やアイライナーのインクがマイボーム腺を詰まらせないように注意しましょう。
マイボーム腺に油が詰まった場合は、まぶたを温めて溶かすことで油の産出が再開されます。
マイボーム腺のマッサージをすると、油の分泌が促進されドライアイの予防につながるため、習慣づけることをおすすめします。
また内側に施すアイラインのひき方をする人は、インクがマイボーム腺を塞ぐことでドライアイになりやすいです。
アイラインをまぶたの縁にひくのは可能なかぎり避け、使用した場合は毎回丁寧に洗い流すようにしましょう。
アイラインを使用する機会が多い人は、専用のメイク落としや洗顔料を活用してしっかり落とすことが大切です。
まとめ
ドライアイを治す方法や予防法を紹介しました。
ドライアイは目の不快感を伴うことで、生活の質を低下させたりストレスを感じたりするため、病院行くべきとされる疾患です。
自分である程度の対処・予防が可能ですが、セルフケアの方法を間違えると症状を悪化させるリスクがあるため、眼科で適切な処置を受けることが推奨されます。
こにし・もりざね眼科は、目の表面に起こる疾患であるオキュラサーフェスの総合的な対応に長けているため、ドライアイやアレルギー性結膜炎の専門的な治療が可能です。
患者さんのドライアイのタイプに合わせて適切な治療を選択・提供します。
目の不快感は、ドライアイ以外の要因によって引き起こされるケースもあるため、自己判断で放置する前に一度当院にご相談ください。