近視進行抑制点眼剤（低濃度アトロピン点眼）

低濃度アトロピン点眼（マイオピン、リジュセアミニ）について

マイオピンとは

マイオピンは、アトロピンという成分を低濃度（0.01%と0.025%）に調整した点眼薬で、シンガポール国立眼科センターの研究に基づいて開発されました。

近視は眼の長さ（眼軸）が長くなることで進行します。
アトロピンは眼軸が長くなるのを抑制する効果があります。
1%の濃度（日本の保険で薬局でも扱うもの）では、眼軸の伸長を抑える効果は強いものの、散瞳（瞳が拡張すること）によりまぶしくなったり、近くの距離が見えなくなるという副作用も強いです。
そこで濃度を減らし、眼軸の伸長や近視の進行は抑えつつ、副作用も少ない濃度が0.01%と0.025%という研究結果が得られ、マイオピンが誕生しました。

リジュセアミニとは

2025年4月から国内で販売開始された低濃度アトロピン点眼剤で、0.025％となります。
効果はマイオピンと同じです。

低濃度アトロピン点眼の効果

シンガポール国立眼科センターの研究結果ですが、何も点眼していない（プラセボ）群より、マイオピン0.01%を点眼した群の方が、2年で50~60%近視の進行を抑えていました。
眼軸も同様に伸長が抑えられていました。

日本でも6歳～12歳を対象にした多施設研究により、マイオピン0.01%の点眼を2年間継続した場合に、近視の進行がゆるやかになっているという結果が出ました。

低濃度アトロピン点眼は毎日寝る前に1回点眼します。中止後のリバウンドで近視が急に進行するのを防ぐため、10代後半まで継続することが推奨されています。

低濃度アトロピン点眼を用いた治療について

• まずは視力や眼の異常がないか、診療で確認します。
  散瞳剤を用いての検査を行う場合があります。その場合は検査後2日ほどまぶしく、近くが見えにくくなりますので、大事なイベントがある時は避けられた方がいいでしょう。
• 適応があると判断され、定期的な点眼と検診を継続できる方は、低濃度アトロピン点眼による治療を開始します。（自費診療）。
• 初めは1か月後に受診、特に問題なければ2か月後、それ以降は3か月に1回検診します。
• 対象者
  年齢　6歳～10代前半
• 費用　円安の影響、リジュセアミニの発売に伴い、下記のように費用の変更になります。（2025年7月～）
  検診費用含めて（税込）
  マイオピン0.01%　1本　5,720円、　2本　9,240円、　3本　12,760円
  マイオピン0.025%　1本　6,580円、　2本　10,960円、　3本　15,340円
  リジュセアミニ　1箱（30本）　6,580円、　2箱　10,960円、　3箱　15,340円
  ＊マイオピンは衛生的に使用するため1本1か月で新しい点眼瓶に変えてください。

注意点など

• マイオピンによる治療は自費診療となるため、他の内容での診療と同日に行うことはできない場合があります。
• 近視の進行は完全に止められるのではなく、進行を遅くすることを目的とした治療になります。
• 効果の程度は個人差があります。
• 点眼により、まぶしさを感じることや、近くが若干見えにくく感じることがあります。
• 検診を受けないで点眼のみ購入することはできません。